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Q&A:脂質と健康
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コレステロール生成系


 成人は
1日に1000〜1500mg程度のコレステロールを必要とし、食事から得るとともに、肝臓で生成しています。

 コレステロール生合成は、脂質生合成の途中から枝分かれするプロセスで肝細胞の小胞体などで進行します。多数の酵素による複雑な過程ですが、大筋は以下のようなものです。

 
コレステロール生合成

アセチル-CoA 
HMG-CoA
  HMGR
メバロン酸
ファルネシル

ピロリン酸

  SQS
スクアレン
ラノステロール
  CYP51
コレステロール
  

cholesterol:C27H46O

HMGR
: HMG-CoA 還元酵素

SQS: スクアレン合成酵素

CYP51: ラノステロル14αヂメチル化酵素

HMG-CoA:3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA。コレステロール合成の原料。
*CoAは補酵素A(Coenzyme A)。

斜体は酵素名です。なかでHMGR還元酵素が重要で全体の速度を決めています(律速酵素)。
コレステロール転送: 生成されたコレステロールはリポ たんぱくに収め循環系に送り出されます。体組織は、細胞膜上のLDLレセプタ(受容体)で受け取ります。レセプタは必要に応じて動的に増減することで代謝の方向や速度が制御されます。
 
代謝を制御する因子

 この代謝系を制御する主な要素は三つです。

 ・HMGR還元酵素などの酵素群:→生成速度が変わる
 LDLレセプタ:→LDLの受容速度
 ・HDL逆転送系:→回収の速度

 脂質代謝と同様に、この代謝バランスを守るのは遺伝子情報ネットワークです。ただし、SREBP-1cではなくSREBP-2転写調節因子が司るというように細部は異なります。

プロスタグランジン、エイコサノイド

 プロスタグランジンとは、炭素数20の脂肪酸から得られる生理活性物質群で、図のようなプロスタン酸骨格をそなえています。

 [余談]

 
アスピリンは誰でも知っている薬ですが、この薬がなぜ効くのかは長い間謎でした。それがプロスタグランジンの生成を阻害することで痛みや炎症を抑えている、と分かったのは最近のことです。
 これは、プロスタグランジンが痛みや炎症に広く深く関係していることを示します。痛みとは、信号 あるいは情報です。その伝達を担うという意味で、脂質メディエータとも呼ばれます。
 
 プロスタグランジン生成経路


 プロスタグランジン(以下PG)は、側鎖の二重結合数で3種類に分けられます。 二重結合の数は前駆体で決まるので、以下のようになります。

 
シリーズ種別 前駆体 側鎖2重結合数
PG-I DGLA 1
PG-II アラキドン酸 2
PG-III EPA 3
 
 アラキドン酸は陸上動物の多くに含まれています。このため、リノール酸を経由しなくても、食事からアラキドン酸を得ることができます。そこから直接にPG-II生成という経路が最短で優勢です  
 
シグナリング  


 PG生成は、他の脂肪酸合成と大きく異なり、環境が与える刺激またはシグナルによる時間軸上のイベント(出来事)です。

 ・化学的シグナル:他の神経伝達物質やホルモンによる刺激
 ・物理的シグナル:血圧や酸素濃度の変化など

 
 
 アラキドン酸カスケード  

 シグナルで活性化したフォスフォリパーゼA2が、リン脂質のエステル結合を加水分解してC2のアラキドン酸を細胞質中に遊離します。

 ここから酵素シクロオキシゲナーゼ COXなどによりPGX2やトロンボキサン類: TxA2に代謝、それぞれに特有のレセプタ(受容体)に結合して生理作用を発現します。(別に、リポキシゲナーゼによるロイコトリエン類への代謝もあります)

 
 
 プロスタグランジンはシクロペンタン環の違いによりAからJまで10種類(PGAPGJ)に分類されています。それぞれ作用が異なり 、相反する組み合わせもあります。

PGI2:(別名プロスタサイクリン)抗血栓形成作用や胃粘膜における細胞保護作用を示す。TxA2と拮抗する。

PGD2肺や肥満細胞で産生。血管平滑筋を収縮、血小板凝集を抑制。睡眠を誘うともいう。

PGE2:炎症時、血流を増進する。

PGF2:血圧上昇、血管収縮など。

TxA2(別名トロンボキサン)血液凝固を調節。

 
   
*COX: シクロオキシゲナーゼ(CycloOxygenase):

 実際には、COX-1 COX-2の2種類あり、COX-1は 多くの組織で恒常的に見られます。COX-2は炎症性COXとも呼ばれます。サイトカイン、ホルモンなどの刺激に応じて生成され、炎症局所で劇的に増加します。
 

 
  アラキドン酸からの代謝産物以下3種のC20活性物質(群)をエイコサノイドと呼びます。

 ・プロスタグランディン、prostaglandins:PGs

 ・トロンボキサン、thromboxanes:TXs

 ・ロイコトリエン leukotrienes:LTs
 

 
  ω-3/ω-6摂取バランスの理由  


 たとえば血管壁が活性酸素で損傷を受けると(シグナル)、その場の細胞膜からプロスタグランジンが生成され、適切な防御や修復がはじまるはずです。
 ところが、生体膜脂質の構成がω-6系に傾いている場合、アラキドン酸カスケードPG-IIの過剰 産生が予想され、その蓄積は生体のバランスを狂わせることになります。
 これを避けることが
ω-3/ω-6摂取バランスが重視される根拠のひとつとされます。

 
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