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Q&A:油脂入門
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油脂の形から
分子の性質を、その形からながめてみます。

油脂の主成分、TGの形
 
  TG:Triacyl-glycerol
炭素分子のかたち  

 ふつうの炭素は4本の腕(電子対)をもち、正四面体の形です[下左]。たとえば、都市ガスのメタンはCH4つまり炭素1個と水素4個の基本的な炭化水素です。

正四面体構造 C=C 二重結合
  一方、炭素の2重結合は平面三角形がベースです[右]。そのπ軌道(垂直な電子の雲)はゆるやかな結合で反応性が高く、油脂の性質に大きく影響します。

  [参照: 炭素分子軌道]
脂肪酸  

 炭化水素の末端にカルボキシル基:-COOHをもつ分子を脂肪酸とよびます。略してR-COOH といった書き方をします。R- は炭化水素の鎖を示します。
 脂肪酸は、炭化水素鎖中の二重結合の数により

 
飽和脂肪酸:二重結合なし
 単価不飽和脂肪酸:二重結合一つ
 
多価不飽和脂肪酸:二つ以上

 などと分類します。
 
FA:FattyAcid:脂肪酸の種別
  UFA:不飽和脂肪酸
SFA:
飽和脂肪酸
MUFA:
単価不飽和脂肪酸
PUFA:
多価不飽和脂肪酸

ラウリン酸

パーム油
 

オレイン酸

オリーブ油など
 

リノール酸

菜種・紅花・大豆など

パルミチン酸

牛脂など
     

リノレイン酸

しそ油

ステアリン酸

動物性広範囲
     

EPA,DHA

魚油
他各種
 
油脂  

  グリセリンという化合物があります。その-OHを脂肪酸 に置き換えたものをアシルグリセロールと呼びます。3本とも脂肪酸の場合トリアシルグリセリド、略してTGと呼び ます。
 植物油も動物油も、主成分はTGです。詳細は、[横関油脂工業ページ]をご覧ください。

  脂肪酸R1,2,3は、種類が異なることもあります。2本だけのジアシルグリセ リドは、生体膜に多く見られます。
  [ 横関油脂工業Q&A]
 

脂肪酸の形

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ステアリン酸C18H36O2
 代表的な飽和脂肪酸です。化学式を展開すると以下の形です。


 
 
ω位置: 脂肪酸の炭素原子はカルボキシル基側(右端)を始点として順にC1C2数えます。または 、カルボキシル基の隣、C2を基点としてギリシャ文字αβと表し、末端(左)をωと表します。  

 ステアリン酸分子はおおよそ以下のような形です。正四面体型軌道の炭素が17個連なっています。鎖式モノカルボン酸の典型的な姿です。
  *炭化水素の鎖は、融点以下で直線状。融点以上では任意の曲がり方をします。
オレイン酸C18H34O2
 オリーブ油、椿油などの主成分です。中央のC9-C10が二重結合です。この位置を右端のωから逆に数えると9番目なのでω-9です。 ここが平面三角形なので、120度折れ曲がっています。
  *融点付近で全体の形状が変わることは共通ですが、二重結合の曲りは変化ありません。

 リノール酸C18H32O2
 植物油を代表する存在です。二重結合はC9-10C12-13の2箇所。この 炭素原子5個(C9からC13まで)が ペンタジエン構造 です。末端ωからみて最初の二重結合は6番目です(ωー6)。 図は、見易さのため水素原子を隠しました。

 
α-リノレン酸C18H30O2
 ω-3系脂肪酸の出発点として重要な脂肪酸です。二重結合は3箇所:C9C12C15。末端から見て最初の二重結合は3番目です(ω-3)。
 
:分子形状は概略です。C-Cの単結合は回転します。融点以上での形は不定 ですが、二重結合は回転しません。傾向としてこんな形という程度にご理解ください。
 

硬い脂、柔らかい油

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 以上の分子形状を、比較してみます。不飽和脂肪酸の分子は二重結合で折れ曲り、飽和脂肪酸には曲がりがありません。
 このため、飽和脂肪酸は隙間の少ない密度の高い集まりをつくります。その分、液化、気化に大きなエネルギーを要し、融点、沸点とも高くなります。実際、ステアリン酸は常温で固体の硬い脂です(下の表参照)。
 一方、不飽和脂肪酸は分子間に隙間が生じ、かたまりにくい性質を備えます。 常温では液体の油で”サラサラ”しています。人の体温は36℃前後ですから、この温度で半固体の脂と液状の油は体にとって大きな違いです。

   
  名称   化学式   融点   沸点   二重結合  
位置
  ステアリン酸   C18H36O2   69.3℃   361℃   0 -  
  オレイン酸   C18H34O2   13.4℃   286℃   1 9  
  リノール酸   C18H32O2   -5℃   約231℃   2 6  
  リノレイン酸   C18H30O2   -11.3℃   約230℃   3 3  
   
 
 油脂の性質の多くは、以上の分子構造から決まってきます。
 次のページをご覧ください。
 
 
 
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